鋭読 〜英独のニュースから世界を読む〜

イギリス人記者が旅する「おくのほそ道」

 このブログでは外国人記者が書いた日本旅行記を数回取り上げましたが(「日本で迷子になったドイツ人」「英国人が見た下田」)、いずれも日本の素晴しさと並んで、どうにも西欧人に理解し難い日本が描かれていました。
 今日取り上げる記事はその点がさらに色濃いものです。イギリス『オブザーバー』紙電子版11月4日付の記事、 "Dip a toe into the real Japan" 『本当の日本に心から浸る旅』を訳します(記事原文はこちら)。
 英国人記者が松尾芭蕉の「おくのほそ道」に触発されて東北の田舎を旅する、なかなか面白い長文記事です。

反ユダヤ主義のユダヤ人とは? イレーヌ・ネミロフスキーの場合

 今日はやや重たく文学作品と反ユダヤ主義の問題です。
 「反ユダヤ主義」この言葉を聞いて皆さんは何を想像されますか? 「ユダヤ人」と聞いて英語ならば「Jew」、ドイツ語ならば「Jude」と訳しますが、「反ユダヤ主義」は「Anti-semitism」(英)「Antisemitismus」(独)と訳します。つまり、ユダヤ人=セム人です。このセム人とは、一般的には『「現在においては主にユダヤ人とアラブ人によって、また古代においては、さらにバビロニア人、アッシリア人、アラム人、カナン人、フェニキア人等によって代表される西南アジアの人々」というものである』とされています。(文部科学省科学研究費補助金 「特定領域研究」 Newsletter No.2より抜粋)
 前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは、イギリスの『ガーディアン』紙2月22日付電子版から、作家イレーヌ・ネミロフスキーを取り上げた"Truth, lies and anti-semitism" 『真実と嘘と反ユダヤ主義』の翻訳です。
 ウクライナでユダヤ人家庭に生まれた彼女は、ロシア革命後にフランスに移住。作家として有名になるが、1942年、ナチスに捕らえられてアウシュビッツに送られ、チフスのために亡くなりました。その彼女が娘に託した遺稿が遺品のトランクに入れられたままになっていたのですが、50年後に発見され、小説『フランス組曲』として2004年にフランス語で出版され、2006年には英語版が出ました。『ナチス占領下の人々の姿とドラマを鋭い観察眼と巧みな筆致で描いた秀作』と評される本作。邦訳されていないためか、日本ではまだあまり知られていないようですが、海外では大ベストセラーとなっています。
 そんなネミロフスキーが「反ユダヤ主義的」だったという論調が一部にあることを取り上げた記事です。