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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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ベルリンの壁崩壊、ドイツ(再)統一から25年

1989年11月9日はドイツ史、ヨーロッパ史は言うにとどまらず、世界史にとって大きな転換点でした。第2次世界大戦終戦以来、東西ドイツを引き裂き、国内に壁=国境が存在するという異常な分裂国家を象徴するベルリンの壁が崩壊したのです。その後、様々な法的手続きを経て、1990年10月3日に東ドイツの諸州は西ドイツに編入されたのです。
あれから25年。いや、正確には24年なのですが、25周年を記念して、ドイツのハノーバーで記念式典が行われました。
これ、日本ではあまり話題になりませんでした。あくまでもドイツ国内の祝賀行事として行われたようで、日本をはじめとした各国から元首や閣僚(その代理)は出席しなかったためかと思われます。

いずれにしろ、本ブログを訪問して下さった方のブログを拝読しに行ったところ、北ドイツ放送のサイトの一部翻訳をして下さっていましたので、さっそくネタ元を探し当てました。
そこで本日は、"Merkel wurdigt friedliche Revolution in der DDR" 「メルケル首相 東ドイツ平和革命を称賛」をご紹介します。

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
ドイツ連邦共和国のほとんどの指導者たちは金曜日にハノーファーに集い、ドイツがひとつになった日をともに祝った。コングレスセンターで行われた公式行事には約1500名の厳選された人々が招かれたが、中でも最たるものはヨアヒム・ガウク大統領とアンゲラ・メルケル首相(ドイツキリスト教民主同盟)だった。メルケル首相は演説において、25年前には参列者の多くがハノーバーに来ることができなかったことに触れ、再統一を「歴史上の最高傑作」と呼んだ。

再統一後のおおいなる進歩
メルケル首相は演説の中で、ドイツ国内にあった国境で命を失った人々を思い起こすようにと訴え、かつての東ドイツの人々が平和裏に行った抗議を讃えた。「彼らの勇気があって初めて壁が崩壊し、再統一がなったのです。わたしたちはそれを忘れてはなりません」再統一によって、ドイツ東部の人々のあらゆる日常生活に改善がもたらされ、ドイツ東部はおおいなる進歩を遂げたとメルケル首相は語った。「1990年からどれほど進歩したかがわかります」灰色の街並みは色とりどりになり、ドイツ独自のいききとした生活を醸成したという。しかし、メルケル首相はまだなすべきことがたくさんあると指摘し、この点では特にドイツ東部の失業問題を強調した。

統一への賛美歌:「変革の風」
音楽が演奏されたのち、かつての東ドイツで自由を勝ち取るために戦った人々も発言した。彼らの声は、壁崩壊の感動的な写真とともに当時の感覚を呼び起こすものだった。再統一後の最初の数年間の写真にあわせて歌がつけられ、今日まで多くの人々が統一を賛美したことを示していた。スコーピオンズは少女の合唱隊とともに「変革の風」を歌った。

言い間違いで微笑み
ニーダーザクセン州のシュテファン・ヴァイル首相(ドイツ社会民主党)は連邦参議院議長として公式祝賀行事の招待客に謝辞を述べ、ハノーバーへ歓迎した。ハノーバーがドイツ統一25周年を祝うことができて光栄だ、決然と、かつ平和裏に自由を要求し勝ち取った、かつての東ドイツの人々に対し、西部ドイツの人々の驚きは尊敬に変わったと語った。ヴァイルは、1989年11月9日は「ドイツ史における最も美しい日々の一つ」だったと語った。たぶんわざとではないが、ヴァイルは失言して、それを取り消した。彼は「東部への出発の目的地」と言って、すぐに笑い声が起きたので即座に訂正して「西でした!統一から25年も経つと間違えることもあります」と言った。

ドイツの諸機関の代表が集結
招待客の中には、ドイツ連邦共和国の16の州の首相と並んで、クリスティアン・ブルフ元連邦大統領、ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー元外相(ドイツ自由民主党)、ノルベルト・ランメルト連邦議会議長、アンドレアス・フォスキューレ連邦憲法裁判所長官、東ドイツ最後の首相だったロタール・デメジエールらも出席した。こうしたドイツの著名な政治家たちは出席したが、外国の元首や政府首脳の出席はなかった。

朝には教派を超えたミサ
ドイツ統一の日の祝典の中心は金曜日の朝に教派を超えたミサで始まった。ハノーバー最大の教会であるマルクト教会では、メルケル首相、ガウク大統領と並んで、ユダヤ教、イスラム教の代表も参加した。彼らはともに世界平和の祈りを捧げた。ハノーバー州司祭のラルフ・マイスターはミサにおいて、正義の探求においては献身が問われ、そのことはシリアとイラク北部における紛争地帯にも当てはまると語った。

メルケルとガウクは象徴的人物として賞賛された
ホストであり、実務上の連邦参議院議長であり、ニーダーザクセン州首相のヴァイルにとって、ガウク大統領とメルケル首相は再統一成功のシンボルである。「連邦大統領と連邦首相がかつての東ドイツ出身であることは、われわれが進めてきたものを示す重要な指標である」と彼はすでに前日に語っていた。「ハノーバーで行われる2日間の祝典は、1990年の統一と壁崩壊25周年を思い出させるものとなるでしょう。」ニーダーザクセン州の州都ハノーバーは、1998年以来、二度目の統一祝賀式典の開催地となった。
<終了>

【ゴリ丸の独り言】
たぶんニュース原稿だと思います。写真、動画とあわせていますから、独特なリズムですね。ちょっと慣れなくて、戸惑いました。
訳注を少々。
1.friedliche Revolution
文字通り「平和革命」ですが、マルクス・エンゲルスが1848年の『共産党宣言』で主唱した暴力革命との対比として、相対的に平和な方法で流血を極力避けつつ国家権力の階級移行を実現することを指します。ドイツではライプチヒで起きた「月曜デモ」を端緒に始まった民主化運動が犠牲者を出すことなくドイツ再統一につながり、最終的には東欧革命に結びついたことから、ドイツ再統一に特化して「東ドイツ平和革命」とも訳されています。

2.Einheit(統一) と Wiedervereinigung(再統一)
ドイツでは「統一」の語感は、プロイセン王ウィルヘルム1世がドイツ帝国皇帝となった1871年のいわゆる第二帝政成立を指すと言われてきましたが、本記事では一般名詞として頻繁に使っているようです。
後者は、ドイツが第2次世界大戦後に東西に分裂したものを再びひとつの国家にしたこと、すなわち本記事で扱う1989年のベルリンの壁崩壊から1990年10月3日までを特定して指しています。
なお、本記事では Einheitは22回、Wiedervereinigungは9回使われています。

さて、この記事を読んで、1979年に東ベルリンを訪れた1週間を思い出しました。東ドイツに列車で入ったのですが、列車内に警察が乗り込んでパスポートを確認するのは当然としても、コンパートメントのシートまでひっくり返して行きました。探していたのは密輸? 密入国?
宿泊は西ベルリンのユースホステル。ここから数日間、東ベルリンに毎日通いました。ある日は、ゴリ丸が学んでいた大学のドイツ人教授の紹介で、フンボルト大学日本語学科の助手をしていた女性のお宅に伺いました。工場で働く夫と幼い息子さんがいました。夫人と一緒に買い物に出かけたのですが、当時のソ連同様に行列です。その代わり物価は驚くほど安く、ブルガリア産のワインが750mlで150円ほどでした。また、夕方には保育園に息子さんを迎えに行ったのですが、保育料は無料。社会主義国家の一端を見た気がしたものです。そうそう、たしか路面電車はどこまで乗っても日本円に換算して20円くらいだったと記憶しています。
ある日は、西ドイツの大学に留学中の先輩が数年前に知り合いになっていた老夫婦のお宅に紹介されて、日本人数名で伺いました。ここの旦那さんは西側から来る若者たちと話をするのが大好きな方ですが、いろいろと興味深い話をうかがううちに思わずわれわれ日本人の声が大きくなったところで「声を抑えてください」という紙きれを見せられたことをよく覚えています。実は、西側の若者たちが時々出入りする、話し声が聞こえるのでスパイではないかと近所の人から秘密警察に密告されて、拷問に近い取り調べを受けた経験が数度あったという説明を小声でしてくれました。

その後、再統一してからはゴリ丸の同期生が何度か旧東ドイツ領のライプチヒに留学しましたので、失業、生活困窮、東西格差の問題について現地のナマの情報を聞いていました。一方、ゴリ丸は(再統一前に)仕事で西ドイツに何度か出張していましたので、その違いには、話を聞き、写真を見せられる度にびっくり。
ですから、本記事にあるように、再統一までもたいへんだったでしょうが、再統一後も並々ならぬ苦労を重ねて来て、ようやく今の状況にこぎつけたけれど、まだまだ、というのがドイツの本音だと思います。特に東部の失業問題は深刻です。

それにしても、やっぱりドイツではスコーピオンズは人気があるんですね・・・

最後に余談ですが、東欧革命前後の東ヨーロッパの状況が簡単に、しかもビビッドに感じられる本として、米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)をお勧めします。
~この稿おわり~

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