鋭読 〜英独のニュースから世界を読む〜

子どもの世界に踏み込んで考える 〜ドイツの場合〜

最近のニュースでなんともやり切れないのは
・ソフトバンクの料金0円問題
・県庁レベルの贈収賄事件
・高校の履修単位不足事件
子どもの自殺の問題
ですね。
ある種共通点が見えてくるのは、誰のためにすべきこと(または、してはいけないこと)を考えなくてはならないのかという視点が欠けていることだと思います。換言すれば、主体としての国民・市民・子どもたちの存在がないがしろにされています。
これは日本に特徴的な憂うべき事態だろうなあと思っていたところ、ドイツでも似た状況があることを10月27日付『ディ・ヴェルト』紙電子版が伝えています。題して "Einblick in die Welt der Kinder" 『子どもの世界に踏み込んで考える』
なお今回からは翻訳文を掲載するにとどめ、特にgorimaruのコメントは途中では差し挟まないことを基本として、よりリアルかつストレートに英独のニュースをお伝えします。

《翻訳開始》
(注:以下の翻訳文は管理人の承諾なく一部ないし全部の転載を禁じます)
ネグレクト、ビデオやテレビ、肥満などがドイツ子ども像では目立った問題だ。しかし、子どもたちが自分たちの状況について何を語っているかについて実際には研究されておらず、新たな研究が求められている。

【ベルリン発】少なくともブレーメン生まれのケビン(2歳)が死亡して以降、ドイツでは子どもについて議論が行われている。子どもの幸せは全国民の関心事ではあるが、ドイツ子どもの状況に関する研究成果は乏しい。キリスト教の子ども救済事業「ワールド・ビジョン」はこの状況を変えようとしており、大きな理想像に向かうために様々な研究を委託している。
2007年10月に行われるフランクフルト本の見本市ではビーレフェルト大学の社会科学者、クラウス・フレルマンが結果を発表する予定だ。現在、フレルマンは50年以上前からドイツの青少年の状況を研究している有名なシェル研究財団の責任者だ。同財団の青少年研究の対象は、ワールド・ビジョンの3〜12歳児研究となる予定だ。「このような規模、この分野でドイツではまだ子どもに関する研究がありません」ワールド・ビジョン・ドイツ代表、ギュンター・ビッツァーはベルリンで行われた研究発表において語った。
科学的な基礎データなしには子どもに関する政策はできない。したがって子どもについて、すなわち家族、学校、友人、自由時間の楽しみなどについて、また、子どもたちの夢、子どもたちが何を正しいと思うのかについて正しい情報が必要だ。フレルマンは政策について、またヨーロッパ、世界の発展、戦争についても子どもたちに尋ねたいと考えている。「子どもたちは今や関わりを持たずにいるわけには行かないのです」とフレルマンは語った。
というのも、子ども時代がますます短期集中になっているからだ。女子児童の50%以上は11.5歳ですでに初潮を迎えており、男子については平均してその1年後には思春期になる。情報やニュースは非常に幼い社会構成員である子どもたちにも押し寄せ、幼いうちから結果を求められるシステムに組み込まれていくようになる。伝統的な家族像がなくなっていったために、子どもたちはますます家族関係の問題に直面し、貧困と放任が増えている。ドイツでは250万人の子どもたちが貧困と区分される社会層にいる。
研究では、子どもたちに猶予、つまり複雑な現代社会では大人が原因だとされている諸問題から逃れることができる避難所があるかについても解明されることになろう。そうした避難所をどのような機関が提供できるのかは特に関心を呼ぶことだろう。フレルマンと並んでワールド・ビジョンの研究責任者であるビーレフェルト大学の教育学者、ザビーネ・アンドレーゼンはこの関連において全日制学校の考え方に若干疑問を抱いている。多くの子どもたちにとって全日制学校は非常に有益だが、マイナスとなる子どももいる。すなわち「自由時間を失い、楽しむ時間を失い、何もしない時間を失います」とアンドレーゼンは言う。
フレルマンは3000名の4年生にアンケートを実施しようとしており、もっと幼い子どもには個々に面談をしようというのだ。青少年研究家のフレルマンは子どもたちの内面生活を知るために「良く話を聞こう」という。彼によると、これは、母親、父親、教師、ソーシャルワーカーにアンケートを行っても殆ど明らかにならないものだ。子どもとどう立ち向かうかについて、経験論的社会科学においては議論のあるところだ。専門家は、自我を感じる能力は青少年期になってからでないと確立されないという点で一致しているので、3歳児に面談しても意味がないという批判的意見がある。しかし、アンドレーゼンは子どもと対話したり子どもに絵を描かせることによって、幼児も研究対象にする考えだ。
今までの研究では、子どもは家族、友達、調和を大事にするという結果が出ている。ワールド・ビジョンの研究によって、子どもに対してどのような方策ならば耐え得るのか、役に立つのか、役に立たないのか、合目的的に検証することができる。フレルマンは、そうすればドイツにおける子どもの権利を巡る議論にも新たな方向性が得られるだろうという。
《翻訳終了》

この稿おわり

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