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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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総選挙に大義はあるか? ~海外メディアの反応~

安倍首相が直前まで「わたしは何も言っていません」としておきながら、昨夕、解散総選挙を表明しました。もちろん、戦術として、事前に総理大臣が解散を口にすることはありません。それはわかっているのですが、何だか釈然としない対応ですよね。安倍首相に限った話ではないのですが・・・
いずれにしろ、17日(月)に発表されたGDP速報値がマイナスをつけたことで、各国メディアには、英語では recession、ドイツ語では Rezession、つまり「景気後退」「不況」「不景気」が踊りました。ドイツの『ディ・ヴェルト』では安倍内閣の財政政策を extrem expansive Geldpolitik 「極端に拡張主義的な通貨政策」と評しています。
日本の不景気状態を受けて、安倍首相は消費税の再増税、ひいてはアベノミクスを国民に問うために解散総選挙をするのだと言い切りました。日本を含めて各国メディアも解散の理由として消費税増税の問題を挙げているところが大半です。安倍首相の記者会見をそのままストレートに受止めれば、そうなります。無理はありません。
一部の野党、日本メディアもそうですが、イギリスの『ガーディアン』はそうではありません。では、なぜ解散総選挙になったと見ているのでしょうか?
"Japan's election won't just be a referendum on Abenomics" 「日本の総選挙 アベノミクスを問う以上の意味」を紹介します。

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
安倍晋三首相は12月の総選挙を表明した。選挙は首相の経済政策の信を問う国民投票とされているが、防衛および原発を巡る議論が世論を二分している状況では、パワーバランスが投票結果に大きく影響するだろう。

18日、日本の安倍晋三首相は11月21日に衆議院を解散し、12月に総選挙を行うと表明した。同じ記者会見で、消費税の8%から10%への再増税を当初予定から18カ月遅れて2017年4月まで延期することも表明された。これらはすべて、17日に発表された公式データにより2008年以来4回目となる日本の景気後退突入が明らかになったことに端を発する。
2012年の選挙では、1955年以来3年間を除いて政権与党だった自民党が294議席を獲得した。これに対し、民主党は54議席。31議席を獲得した公明党との連立によって、安倍連立政権は衆議院の3分の2を占める議席に支えられている。
昨年7月、安倍連立政権は参議院でも過半数を獲得した。
安倍首相が12月の選挙で勝利することにはまず間違いがなく(民主党は全選挙区に立候補者を立てることさえできない)、どの程度、どのような形で勝利するのか、連立与党が480議席の衆議院で相当の過半数を獲得できるかが唯一の問題だ。
3分の2の過半数議席を持っているということは、原則としては憲法改正に求められる与条件である。そうした憲法論議は次のように規定された第9条を巡るものだ。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 」
「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
これまでに安倍首相は第96条の改正にも意欲があることを明らかにしている。同条では、憲法のいかなる改正発議も、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要で、かつ国民投票において、過半数の賛成が必要だと規定されている。
第9条は、日本の集団的自衛権を行使する権利を制限すると見られてきたため、特に議論が多い。憲法改正問題は、これに反対している公明党にとりわけ異論が多い。
その結果、7月に政府は、9条は集団的自衛権を行使する権利を含むという解釈変更を表明した。これによって、例えば日本の基本となる憲法を変更することなく、同盟国が攻撃を受けた際にこれを助けることが許されることとなった。
その後、安倍内閣は防衛費増額も認め、10年間減少した分を補てんした。
ある意味で、この再解釈により、表面的に見れば3分の2の過半数獲得は12月の選挙結果を図る理想的な指標ではなくなった。それでも過半数を占めること、安倍首相がどの程度信任されているのかが大いに問題となるだろう。
16日、米軍基地移設に反対する候補者が沖縄県知事選に勝利した。この結果は、現職候補と移設計画を支持していた安倍首相には打撃となった。
防衛をめぐる議論は日本で二分しているし、集団的自衛権の行使権を巡る問題は依然として高度に政治化された問題だ。憲法解釈変更には自己犠牲を含めて反対が持ち上がった。中国との緊張関係において、国民は安倍首相の積極外交を広く支持しているが、集団的自衛権を巡る問題に限っては、世論が二分している。
同様の世論分裂は、安倍首相が強く推進してきたが2011年の福島の災害以降は全て停止された原発の再稼働をめぐる議論においても見られる。
これらの問題は全て先延ばしされることになる。
12月の総選挙は、アベノミクスに関する国民投票であると同時に、憲法問題に関する投票であり、政府内においてもタカ派とハト派の勢力争いであって、経済問題をめぐるものにとどまらないのである。
<終了>

【ゴリ丸の独り言】
ちょっと整理してみます。同紙が挙げている総選挙の理由は次の通り。
1.アベノミクスを国民に問う
2.世論を二分している、憲法第9条を巡る集団的自衛権の問題に決着をつける
3.沖縄新基地建設問題を巡る問題に決着をつける

ゴリ丸の見解としては、この他にも国民の議論を二分している問題がテンコ盛りです。
4.特定秘密保護法の施行/廃止・・・言わずもがな、ですね。
5.社会保障の充実・・・増税を延期するのならば、これも延期するのか?何もしない?他に財源を見つける?「景気は上向いている」と言い切るのであれば、自然増収で解決する?
6.「女性が輝く社会」の現実化・・・小渕前経産相、松島前法相が汚点を付けたので、どっかに吹っ飛んでしまいましたね。これも政策的に子育て支援を推進するとしていましたので、社会保障と同じ問題が残っています。
7.日中外交・・・ゴリ丸も触れたとおりですね。⇒ こちらこんな状態のままでよいはずがありません。小笠原沖の赤サンゴ密漁には、中国側が「船体破壊」という、法治国家にはあり得ない強烈な対応を発表して終息の兆しが見えてきましたが。
8.日韓外交・・・日中関係の改善を受けて、置き去りにされたと感じている韓国国内世論によって、パクウネ大統領は非難の針のムシロに晒されていますが、すぐに軟化するわけにも行かずに困っているようです。
9.TPP交渉・・・米中間選挙の結果を受けて、共和党が勢力を強めています。支持層には南部を中心とした米農業界がいます。これまでにも増して相当なゴリ押し交渉を仕掛けてきそうです。
10.地域再生の具体化・・・掛け声はいいんですがね。具体的に何をするつもりなのでしょうか?全然見えません。

どうです? 安倍首相は経済政策にしか触れていません。いくら経済再生を最優先すると言ったところで、消費税再増税にしか触れずに解散総選挙に打って出れば、野党は1強全弱時代にコテンパンにやられて腰砕けですから、自公連立が勝利するのは目に見えています。すると、総選挙後に、2以下の諸問題については「国民の信任を得た」と言い張って、自公で好きなようにできるのです。
この観点に立てば、現在の日本には、健全な意味での民主主義は存在しないとも言えます。
それはそうでしょう。野党がやっていないとは言いませんが、いまだに少なくとも群馬県のみならず、そこここの地方では買収まがいの行為が平然と行われ、その結果「選ばれた」政党が上記のようなレトリックを弄していては、独裁と何が違うのか・・・と疑問になってしまいます。
今の自民党にはそれを説明する義務があると思うのです。
~この稿おわり~

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