FC2ブログ
 

鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

相次いで安倍政権をけん制する米大手新聞

一部マスコミで報じられましたが、12月4日に『ニューヨークタイムズ』が "Whitewashing History in Japan" 「日本の歴史書き換え」で、8日には『ワシントンポスト』が "Will Japan’s habit of rewriting its history affect its future?" 「自国の歴史を書き換える日本の習慣は、この国の未来に影響するか?」で、安倍政権が右派と連携して歴史を改ざんしようとしていると批判する記事を掲載しました。
これをどう解釈すべきでしょうか?

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<12月4日付『ニューヨークタイムズ』 開始>
日本の右翼政治勢力は、安倍晋三内閣に力を得て、第2次大戦中の売春宿で日本軍が何千人もの女性たちを働かせていたという戦争の不名誉な部分を否定しようという威嚇運動を展開している。
多くの日本の主流派の学者、日本以外の研究者のほとんどが、この仕組みによって日本兵がアジアの前線地帯で女性たちを性的に虐待していたことは、「慰安婦」から広く集めた証言に基づき、史実として確立させた。
ところが、そうした出来事はすべて戦時中の敵国によってでっち上げられたものだとする政治的努力が現在では行われ、修正主義者たちは、女性たちへの売春強要に対して日本政府が1993年に発表した謝罪を否定しようとしている。国粋主義的盛り上りを煽り立てようと企図する安倍政権は、日本が性奴隷として働かせた女性たちについて国連が1996年に発表した人権報告書を今年はじめに修正しようとして拒否された。しかし国内では、朝日新聞で80年代、90年代に書かれた、「慰安婦」の仕組みに関するより大きな史実を限られた側面では否定する記事を撤回したことに対して右翼がつけ入ろうと食い下がり続けている。
安倍政権は、戦時中の歴史をごまかそうとするこうした要求に迎合して、危険なことに手を染めている。「彼らはわれわれを脅して黙らせようとしている」朝日新聞元記者の植村隆は、超国家主義者たちが彼と家族にしてきた暴力的脅迫のことをこう表現した。
中国と韓国からは批判され、米国内では不満が渦巻いている状況下で、安倍首相は3月に、河野談話を堅持すると表明した。これによって、何千人もの女性たちが韓国やその他の国から徴募されて性奴隷として使われたことを日本は認めたのだ。修正主義者がどう企てようと、これが史実のよりどころなのである。
<終了>

<12月8日付『ワシントンポスト』 開始>
日本は一所懸命忘れようとしている。日本の安倍晋三首相は、暗に日本が第2次世界大戦の犠牲者であり(ありがたいことに戦犯などいないそうだ)、政府が影響力を持つ保守派マスコミは、政府から色目を使われて、戦時中に性奴隷を使っていたことをごまかすことにした。こういったことはしたくなるものだ。もしかすると他の国々は日本が友好国だと思っていたことを忘れてしまうかも知れない。
歴史を書き換えるという課題は、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画「アンブロークン」がクリスマスにヒットするとより難しくなるだろう。ローラ・ヒレンブランドの原作同様に、この映画はかつてオリンピックに出場したランナー、ルイ・ザンペリーニの物語だ。彼の乗った飛行機は第2次大戦中に太平洋で不時着し、彼は結局2年半を日本軍の捕虜として過ごし、日本軍にひどい暴力を受けた。飢えて、肉体的かつ心理的に拷問を受け、死ぬほどまで労役をさせられ、何かあるとひどく殴られたので、竹刀が彼の頭蓋骨を叩くゴツンという音が耳から離れなくなってしまいそうだ。
人はこうした虐待で死ぬものだが、ザンペリーニは違った。彼は今年(7月2日)97才で亡くなるまで長生きして小説と映画になった。彼は日本人と和解した。これは、日本が自国の過去に対してしたことを超越している。
日本には償うべきことがたくさんある。日本は戦時中の捕虜を虐待して、有名な731部隊という医療研究チームを作り、大半は中国人の敵国捕虜に実験を行った。このチームはほかにも残虐行為を行い、内臓や体肢をでたらめな医学目的のために切除して、生きている人間に麻酔なしでぞっとするような生体解剖を行った。メンゲレ博士さえ恐ろしくて目をそらしただろう。
本記事は、反日感情を呼び起こすことが目的ではない。なぜなら、反日感情とは、アメリカが戦時中に人種差別とない混ぜにして、捕虜収容所の日系アメリカ人に不正な冤罪事件を生み出したものだからだ。だが、日本には過去を修正することによって過去を呼び起こそうと意図している大物がいるようだ。安倍首相はこれに暗に同意しているので、日本が何千人もの女性を戦争中の軍隊のために性奴隷に徴募したことを明らかにした朝日新聞にとてつもない圧力をかけた。この史実は作り話だとして糾弾され続けている。数えられないほどの証人、つまり言うまでもなく犠牲者たちがそうではないと主張している。
これは重要な問題だ。まず、こうした婦人たちに、彼女らは自発的に応募した、つまり娼婦であり性奴隷ではないのだと、彼女たちの人間性を今一度否定することは言葉にするのもおぞましい。次に、すべての卑しむべき「慰安婦」の話を消し去ろうとすることは、歴史を書き換えようという恐ろしい企みの一部である。首相就任前と就任後に少なくとも1回、安倍は戦犯を含む多くの第2次大戦の大物たちが祀られている靖国神社を参拝している。日本と戦い、暴力的に占領された中国人、朝鮮人、その他のアジア人にとって(『ザ・レイプ・オブ南京』は特に陰惨な著作だ)、靖国に祀られた死者たちに与えられた名誉はひどく侮辱的なものだ。
<終了>

【ゴリ丸の独り言】
どういう繋がりでしょうね?
改めて慰安婦問題を巡る朝日新聞の問題について、慰安婦(記事では sex slave「性奴隷」を使っています)自体は史実であるけれど、朝日新聞が80年代、90年代に報道した記事の一部にはねつ造されたものがある、慰安婦の存在自体は史実だという理解をニューヨークタイムズはしています。したがって、慰安婦の存在自体がなかったのだとする企ては誤っている、そうした歴史改ざんを企てている右翼勢力と安倍政権は連携しているのだとして、これをけん制しています。
『ワシントンポスト』は今少し広い視野で問題を捉えていて、日本軍による捕虜虐待、731部隊による生体実験などを挙げながら、歴史を改ざんしてはならないと強く求めています。
この記事が主張することはたいへん重要な問題で、朝日新聞が記事をねつ造したり、誤報を修正・謝罪しなかったこと自体は批判すべき、ジャーナリズムに遭ってはならない行為です。ですが、それに勢いを借りた右翼勢力と安倍政権が慰安婦問題の存在自体を否定しようと画策していることは確かに問題だと思います。ワシントンポストの言う通り、国連人権報告書の修正を拒否されて、それを受け入れたこと、河野談話の堅持を表明したこと、この2つによって、日本政府は慰安婦問題の存在を認めたことになるのです。それを見直すだのなんだのという議論は民間では自由でしょうが、政府は口にしてはいけません。世界ではそのような論理は通用しません。
それにしても、「なぜ今」なのでしょうか?
総選挙で勝ちそうな自民党に釘を刺した? そうだとすれば、なぜ二紙がほとんど同時に?
ちょっとナゾが残りました。
~この稿おわり~

スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。