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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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現代ヨーロッパにおける反ユダヤ主義を考える

シャルリー・エブド襲撃事件は、言論の自由を蹂躙したテロリズムに対する非難を中心としながら、言論の自由とは何か、信仰に関する風刺は是か非かという議論をも喚起しています。
こうした議論の中で、同時に起きたユダヤ食品店襲撃事件についてはあまり語られていません。ニュースを見ても、フランスは世界3番目のユダヤ人コミュニティを形成している国であり、同時に西ヨーロッパ最大のイスラム教徒も抱えていることから近年緊張が高まってきたということ以外に何が問題だったのかがどうも伝わってきません。
そんな中、『ワシントンポスト』紙電子版に "Anti-Semitism is once again on the march in Europe" 「ヨーロッパで反ユダヤ主義が再炎」という記事を見つけましたのでご紹介します。
ドイツで移民排斥運動を推進して社会問題化している「PEGIDA:ペギーダ」(Patriotische Europäer gegen die Islamisierung des Abendlandes:西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」)が反ユダヤ的色彩を強めていることは知っていましたが、そうした表層に表れた事象に限らず、論点はいま少し深堀されているようです。
本記事は「オピニオン」で、書いているのはオピニオンライターのリチャード・コーエン(Richard Cohen)です。

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
拙著新刊のタイトルは『イスラエルはユダヤ人のためのものか?』。執筆を始めた時には、この問いかけに何と答えたものか、まだわからなかった。問題を掘り下げ、読み込み、調査するほど、ますます答えはイエスに収束した。最近パリで起きた事件を見ても、ますます確かだと確信する次第だ。
長く、血塗られたヨーロッパのユダヤ人の歴史において、パリのカシュル食品店でさらに4人亡くなっても、それはささいな出来事にすぎない。だが、彼らは偶然テロリストによる報復の犠牲になったのではなく、弾が偶然当たったに過ぎないわけでもない。彼らは狙われるべくして殺されたのであり、風刺画を発行するといったような、彼らの行為がゆえに殺されたのではない。彼らはユダヤ人であるがゆえに殺されたのだ。
なぜか?昔からある回答はイスラエルだ。言い換えれば、パレスチナの窮状だ。そのどちらにも何かしらの真実があるが、それでもイスラム世界はあまりパレスチナに関心を持っていないので、パレスチナ難民が避難先の国々で等しく権利を持っているのと同様にパレスチナ難民を許容し、または、PLOがサダム・フセインを支持した後、一種の民族浄化のようにクウェートおよび全湾岸諸国からすべてのパレスチナ人コミュニティが一掃されたときにはこれに抗議した。アラブ世界はパレスチナのために落涙したが、それは一時的なものに過ぎず、やり過ぎでもなかったのだ。
したがって狂気と思われるもの、何人かのイスラム教徒をしてアドルフ・ヒットラーと同じ確信を持たせるような、もっともな怒りはイスラムないしアラブのアイデンティティの基本となるもののすべてではない。何百万人、もしかすると何十億人ものイスラム教徒はイスラエルやパレスチナに思うを致すことなく日々の生活を送っている。しかし、彼らは自分たちの無力、アラブ世界およびヨーロッパ諸都市の少数民族地区における驚くほど高い失業率には思いを巡らせている。この点にユダヤ人の位置づけがある。ユダヤ人が非難の的となり得るのだ。
反ユダヤ主義はあらゆる陰謀説のうち最も歴史が古く、影響を受けやすい。主な原因はキリストの死とリベラルなメディアにおけるユダヤ人の優勢にあると考えられている。共産主義運動と資本家たちの活動においてユダヤ人が不釣り合いに多数を占めていることは念入りに指摘された。反ユダヤ主義はユダヤ人の富と、彼らが科学、芸術分野において成し遂げた業績が主な原因かも知れない。彼らは、そして私たちは非常に明敏なのだ。そうあららざるを得なかったからだ。
イスラエル反ユダヤ主義糾弾は大事な点を見逃している。少なくともイスラエル建国までの1948年間、反ユダヤ主義は存在し、勢力を拡大したが、その間、イスラエルにはそのいずれもなかった。ヨーロッパではユダヤ人が虐殺され、中東のイスラム世界でも虐殺が行われたことがあるが、それはイスラエルが影も形もない時代の話だ。ホロコーストで6百万人のユダヤ人が命を失ったが、それはヒットラーが親パレスチナだったからではない。反ユダヤ主義は古代エジプト、古代ローマ、T.S.エリオットの精神、ヘンリー・フォードのアイデアに富んだ脳に拡散したが、それは後のイスラエルが後のパレスチナを翻弄するずっと以前の話だ。反ユダヤ主義に理由はいらない。必要なのは言い訳だけだ。
この言い訳は現代ヨーロッパに存在する。ヨーロッパの少数のイスラム教徒は貧しく、異常に失業率が高い。彼らは、パレスチナに対するイスラエルの態度と思われているものを理由にイスラエルを嫌悪するし、ユダヤ人に対しては、ユダヤ的であること、すなわち富み、秘密主義的で、陰謀を巡らせ、市場を巧みに操ると思われているがゆえに憎悪している。
救いの道は教育と同化だ。アメリカにおいて、ヒスパニック系住民に非常に多く見られた反ユダヤ主義が同化に伴って消失している。名誉棄損防止組合によると、全アメリカ人の12%が反ユダヤ的だが、アメリカ以外で生まれたヒスパニックは36%という驚くべき数値だ。しかし、アメリカ生まれのヒスパニックは14%に過ぎない。アメリカは同化政策において長けている。ヨーロッパは稚拙だ。策を打たねばならない。
だが、非イスラムのヨーロッパも策を講じなければならない。特に左翼においては、イスラエルに関する議論とイスラエルに対する糾弾は、雪の玉の真ん中に石が入っているようなものだ。抗議から距離を取るような態度は反ユダヤの意見を述べているようなものだ。反シオニズムは正当化されているかも知れないが、反ユダヤ主義を表明する手段に見えることがあまりにも多い。イスラエルのヨルダン川西岸占領は常にわたしの頭痛の種だったが、中国のチベット抑圧のやり方と比べれば慈悲がある。では、チベットで見られるようなデモはどこに見られるのか?
拙著で研究した際には、私は反ユダヤ主義を恐れたままだった。現代の宗教の大半よりも永続的で、歴史が古いだろうし、決まって周期的に再生したことには驚かされた。これは現在進行形であるし、悲しむべきことには拙著のタイトルはほとんど的外れだ。問題は、イスラエルがユダヤ人にとって効果的かということではなく、イスラエルはユダヤ人に必要かということだ。答えは、ますますイエスになっていく。
<終了>

【ゴリ丸の感想】
本記事にあるように反ユダヤ主義の歴史は非常に古く、現代にも続いています。現代社会においては反ユダヤ主義がイスラム過激派、ISILによるテロリズムをどう防ぎ、これに対峙するかという問題と複雑に絡み合い、様々な地域・国において反ユダヤの声が上がっています。
本記事はそれに対する一つの見解を提示しているものです。
筆者のコーエン氏の著書を読んでいないこともあり、彼の真意が今一つ腑に落ちないというのが正直な感想ですが、まずは西ヨーロッパで反ユダヤ主義が台頭している現状を把握しておきたいと思います。
~この稿おわり~

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