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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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ドイツと日本の有給休暇を巡る状況の違い

ドイツと日本の有給休暇の取得についてです。
まず日本の現状ですが、ある企業に半年勤務すると10日発生し、その後1年勤務する毎に一般的には1日増え(2日ずつの企業もあります)、上限は年間20日です。ですが法律で有休の有効期間は2年間ですから、もしある年度に1日も有休を取得しなかった場合は、繰り越し分とあわせて理論的には最大で年間40日となります。実際、有休を取得せずに毎年40日の権利があることを繰り返している方もいらっしゃるのでは?
ドイツです。新入社員には(週6日勤務の場合)24日の有休が与えられ、その後は企業、勤続年数、契約内容によって変わりますが、平均すると30日の有休があります。ただし、ドイツでは翌年への繰り越しを認めないことができますので、労働者は年度中に有休を消化しようとします。
企業によっては年度終わりが近づくと人事から通知が来て、残りの有休があと何日残っているから取得するように言われます。労働者の権利を侵害していると疑われたくないドイツの企業家の姿勢が見えますね。
ずいぶんと状況が違います。ドイツではワークシェアが進んでいて、誰かが休んでも大丈夫な体制をとっているため、もあるでしょう。これは産休などのやむを得ない休みについてもあてはまる彼我の社会環境、労働意識の差と言えるでしょう。
そんなわけで、(記事中にもあるように)日本の有休消化率は先進諸国の中で最低です。
そんなドイツは日本政府が出した有休指定5日のニュースをどう伝えたのでしょうか?
おなじみ『シュピーゲル』誌電子版から "Regierung will Japaner zum Urlaub zwingen" 「日本政府が休暇指定の方針」をご紹介します。

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
常に働き、休暇は会社に返上。これでは体に良くない。今後は認められないと政府が発表し、これに待ったをかけた。休暇は義務になるのだ。
日本のサラリーマンについてヨーロッパではいくつかのことが知られている。決して上司よりも先に帰宅しない、夕方になるともっぱら同僚とカラオケに興じる。そして彼らは年次有給休暇の大半を取得しない。
有給については今後難しくなるだろう。日本政府は取得する権利のある有休のうち最低5日は実際に取得するよう国民に義務付ける方針だ。時事通信によると法案が今国会に提出される予定だ。日本人の厳しい労働モラルに起因する健康問題も減退させようというのが政府の狙いだ。
厚生労働省によると日本人は有給休暇の半分も消化していない。2013年平均では有休18.5日に対して取得は9日に過ぎない。時事通信がさらに伝えるところによると、2013年に6人に1人は全く有休を消化していないというアンケート結果がある。
ドイツの労働者は法的に認められた権利として有休が年間最低20日あり、大半は30日以上の有給休暇を楽しんでいるのに対し、日本のサラリーマンの有休は年間10日だけで、それ以上は有給で労働義務を免除される日がない。ある企業で勤続年数が18カ月を超えると、その後は勤続1年ごとに有休が1日増える。このようにして有給休暇は最大で年間20日までとなる。
勤務時間の長さとサービス残業は日本の伝統だ。多くの日本人は、同僚に迷惑をかけて休暇を取るのを躊躇する。こうした働き方はサラリーマンに心理的および身体的な負荷をかける原因となるため繰り返し批判されている。近年から「過労死」が辞書に載っている。「残業のし過ぎで死に至る」という意味で、労働者が過労のあまり死亡したり自らの命を絶った時に使われる。
5日間の有休指定によって政府は労組にも企業家にも公平に対処しようとしている。労働者代表は有休指定を8日間要求し、経営者側は3日間だった。健康問題と並んで政府が視野に入れているのは景気だ。休みになると日本人が余暇活動のためにより多く支出し、それによって経済が上向くというわけだ。
<終了>

【ゴリ丸の感想】
少し認識が誤っている点があります。この手の間違いはドイツの記事に時々見られ、鵜呑みにすると痛い目に遭います。日本の有休はある企業に勤続6か月目で10日付与されます。18か月目ではありません。また、企業によっては入社と同時に有休を付与する会社もありますし、その後年間2日ずつ有休が増える会社もあります。つまり、労基法を上回る労働契約は構わない、というのが日本の労働事情のスタンスです。
いずれにしても日本とドイツの有休事情には大きな違いがありますね。労働時間に対する考え方の差異と言ってもよいでしょう。
サービス残業は日本の伝統だと断じられてしまいました・・・ 無理もない話かもしれません。
実質賃金が低いことも影響して、かつてはダラダラと残業して時間外手当を稼ぐような労働者もいて、企業側もそれがわかっているから所定賃金を低く抑えることもあったでしょう(植木等のサラリーマン映画に出てくるような!)。
残念ながら、今では法律を破ってサービス残業を課す企業が珍しくありません。その対象はアルバイト、パートにまで拡大しています。(と国会で政府が責められていました)
こうした労働環境はヨーロッパ諸国からは信じられないでしょう。
いずれにしても、政府が有休消化を奨励しただけでは実効的でないから義務にするという日本のニュースは、ドイツには驚くべきものです。「ヘンな国」って思われてるんじゃないかな・・・
~この稿おわり~

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