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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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お酒が欠かせない日本のビジネス

飲酒を巡る文化・習慣の違いには国や地域によって様々なものがあります。例えばモンゴルでは馬乳酒を赤ん坊から年寄りまで飲む習慣があると聞きます。こうなると酔うために飲むのではなく、ビタミン、ミネラルの補充が目的だとわかります。フランスでは子供のころから(11才?)ワインに親しむのは、少なくとも昔は飲料水の方が高かったからで、これはドイツのビールにも共通していると聞いたことがあります。近代以降の水道事情の悪さが影響しているようです。
仕事上お酒を飲む機会というのも万国共通ですが、東アジアではちょっと他と異なるようです。
今日は『ビジネスインサイダー』電子版から、"Why getting drunk is important in Japanese business relations" 「日本のビジネスでは酔っぱらうのも仕事のうち」をご紹介します。日本とビジネスするときは要注意、というわけです。

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
食事を一緒にすることは時代を問わず信頼を築く大事な方法だ。しかし、文化によっては飲み物、特にアルコールを共にすることも大きな意味を持つ。
日本に赴任するドイツ人夫婦のトレーニングプログラムを行ったことがあるが、そのときに頭が良くて愉快な日本文化のスペシャリスト・ヒロキに手伝ってもらった。そのドイツ人は日本人の同僚がどうしたら本当のことを話してくれるのかとヒロキに尋ねた。「日本人は建前以外のことは話してくれない。信頼を得られなかったら必要な情報を教えてもらえないのではないかと心配だ」
ヒロキは一瞬黙って考え、目にちょっとしたユーモアを浮かべながら答えた。「最良の戦略は彼らと飲むことですよ」
「飲む?」ドイツ人のクライアントは聞き返した。
「ええ、ぶっ倒れるまで飲むんですよ」
ヒロキがこう言ったとき、私は一度きり東京に行ったときのことを思い出した。そのとき日本人のビジネスマンのグループがいくつか、気のおけない付き合いの長い夕べを終えて帰路につき、駅を千鳥足で歩いているのを見た。彼らがヒロキのアドバイスに忠実に従っていたのだといまになってわかった。
日本における信頼を考えてみると、相互関係に基づいた文化だとわかるのだが、それは中国やインドほどではない。昼間は、日本人はタスク本位なのが普通だが、夜に生まれる関係性の構築はビジネス上の成功を左右しかねない。
日本の文化では、集団の調和と対立の回避が何よりも大事なので、飲酒は打ち解けて自分の真意を表す機会となる。飲酒とは、真意(これを建前とは言わずに本音という)をわかちあい、悪感情や対立がどこにあるのかを認識するため、そして、そうしたものを問題に立ち向かう前に明らかにしようとするための偉大なる共通基盤だ。絶対に前夜の議論を翌日になってから蒸し返してはならない。したがってアルコールを飲むということは、顧客とばかりでなく、自分のチーム内でも結束を固める日本の大事な儀式なのだ。
多くの日本人が飲酒によって関係性を構築していて、これを日本語の動詞「飲む」(英語ではto drink)を表す日本語と英語を組み合わせた飲むニケーションという。日本の営業マンはお客と一緒に飲んで取り込もうとすることが多いが、こうした接待の場ではあいまいな取引は決してしてはならないこと、接待なしで取引を勝ち取れることはほとんどないことをわかっている。もちろん、信頼を構築するための飲酒は日本に限られた習慣ではない。中国、タイ、韓国など、東アジアのどこで働こうと、お客や同僚と相当のお酒を飲むことは信頼構築のよくある方法だ。
タスク本位の文化の人たちにはこれがわからない場合が多い。そういう人たちは「覚えてもらわなくてはならない当人の目の前でなんで馬鹿な真似をするリスクを冒さなくてはならないんだ?」と心配になる。だが、これこそがポイントなのだ。仕事上関わる相手と一緒のテーブルを囲めば、その人に隠すべきものがないのだと示すことになる。そして、もし相手が「ぶっ倒れるまで」一緒に飲んでくれたら、その人は完全にガードを開ける意思があるということを示しているのだ。「バカにみられても心配しないで」ヒロキはドイツ人のマネージャーに念押しした。彼が神経質そうに両手をもみ合わせ始めたからだ。「夜に周囲との壁をなくせばそれだけ信頼できる人だと見てもらえますよ」
アルコールの他にもビジネス上の関係を構築する手段はある。お酒を飲まなくても、楽しく過ごす他の方法がきっと見つかる。日本であればみんなでカラオケをしたりスパに行ったりすれば上出来だ。アラブの文化圏であれば、アルコールはご法度なのでビールのことは忘れて、一杯のお茶でリラックスできる。
<終了>

【ゴリ丸の感想】
特に欧米人にはわかりにくい本音と建て前の話が深く絡んでいます。ゴリ丸が使う英語でもドイツ語でもそうですが、明確に意思を表明しない限り、「あの人は何も考えていない」とか「あの人はバカだ」と思われても仕方ありません。また、例えば食事で言えば、「わたしも同じものを」という発言はほとんど聞いたことがありません。人とは違うものであっても自分の好みを主張する文化なのです。
確かにアメリカ人でもドイツ人でもイギリス人でも、ビジネス絡みで会食することはあります。ホームパーティーに招いたり、招かれたり、もあります。でもビジネス上の関係があるドイツ人とクナイペ(ドイツのビアパブ)で一杯といったことは、よほど親しくなった場合、つまり友人と呼んでもよい関係にまでならない限り、まずもってありません。夕方になって仕事が終わったら個人の時間、家族との時間を尊重すべきだという労働に対する考え方も影響しているでしょう。
日本人は残業もするし(欧米人の感覚では、日本人は1日に12時間働くそうです)、その後で同僚とちょっと一杯というのがごく当たり前にあります。これ、時間が遅かろうと仕事第一という江戸時代ころからの武士の文化がたぶんに影響しているのではないかと思います。「夜討ち朝駆け」ということばも、別にジャーナリスト用にできた言葉ではありません。相手が油断している時に攻めるべしという戦術なのです。
ただし、近年では日本のこうした文化にも変化が見えるようです。仕事の後に一緒にお酒をという風習は若い人の間では減ってきていると言われます。取引先との接待も、「失われた20年」の間に交際費削減が続き、ずいぶんと減りました。となると、この記事が紹介している日本の文化は「絶滅危惧」の類いなのかも知れませんね。
~この稿おわり~

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