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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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ミスタースポックと外交政策?

2月27日にレナード・ニモイが亡くなりました。本名よりも「ミスタースポック」の方が通じるでしょうか。
スタートレック」は言わずと知れたSFスペースものの実写版人気シリーズです。劇場版にもなっています。
カーク船長のウィリアム・シャトナーとスポックのニモイのコンビは、ゴリ丸には懐かしいものです。また、この作品は1966年から始まっているのですが(当初のタイトルは「宇宙大作戦」)実写版のSFにこだわり、かつ戦闘シーンよりもむしろ人間模様に重きを置き続けたのも特徴といってよいでしょう。
いずれにしても、ニモイの死去を悼む記事が世界中に見られます。その中で一風変わったものをご紹介しましょう。
お堅い『ワシントンポスト』紙電子版から "What Star Trek’s Mr. Spock taught us about foreign policy" 「ミスタースポックが外交政策について教えてくれたこと」です。
ん?! スポックって外務大臣じゃなかったよね?

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
俳優レナード・ニモイが27日に83才で亡くなった。ほかの死亡記事にはあまり見られない輝かしい業績が脚注に載せられるほど彼は充実した人生を全うしたのだが、何と言っても「スタートレック」のミスタースポック役で記憶に残るだろう。
(望むらくはワールドビューズを読んだ人たちのように)国際関係に興味を持つ人たちにとって「スタートレック」は空想上の宇宙で特別な位置を占めている。1960年代のSFテレビドラマシリーズである「スタートレック」とそのスピンオフほど国際関係論に結びついた芸術作品は数えるほどしかなく、スポックはそのコンセプトにおいて別格だ。
かつてから「スタートレック」の宇宙と外交政策における理想主義学派の間には共鳴するものがあると指摘されてきた。理想主義と規定される幅広い思想においては、国際舞台では無政府状態であるにもかかわらず、諸国政府は外交政策において内政面の政治的理想と合致させようとすべきだと一般的には主張される。特に超国家的仕組みが含まれる場合には、民主主義、人権、教育といった政治的理想が最終的にはその無政府状態を超越できるという考えだ。
ずっと先の未来を舞台にした「スタートレック」の世界でスポックと宇宙艦隊の隊員たちは、惑星や種を超えて明確なユートピアの原理を持った惑星連邦の任務についている。スタートレックを考案したジーン・ロッデンベリーは国際連合を手本にしたと語っているが、他の点ではNATOをより手本にし始めていた。
惑星連邦は惑星を超えたものとはいえ地球が主役となっていると見られていて、これはアメリカにとって非常に簡単な置き換えだと主張する人が多いだろう。米国空軍士官カレッジ国際安全保障学部のアミット・グプタ准教授の言うように、惑星連邦に属していない「悪い奴ら」も1960年代の世界の勢力図と結びついているのかも知れない。残忍で全体主義的なクリンゴン人はソビエト連邦、より立派なロミュラン人は共産主義中国を表しているというのだ。(彼らは少なくとも部分的にはローマ帝国にも発想を得ていたのではあるが)
グプタの説によると、スポックの父親が属している論理的で無感情なバルカン人という人間ではない種はたぶん日本人に一番よく合致している。ある程度は歴史とつじつまが合っているのだ。バルカン人は平和主義のために過去の暴力を放棄し、人間と無二の親友だと考えられていた。彼らは歴史的にはロミュラン人とつながりもあり、独自の武術を使いさえした。
オリジナルシリーズの多くは、外交政策における理想主義の諸問題と似た内在的な諸問題にかかわるものだ。惑星艦隊は探査ミッションを持っていて、利他的価値観を持っているのだが、複雑な状況や紛争にさえ巻き込まれることがある。こうした状況で、感情を持たず、バルカン人とのハーフとしての宇宙観を持ったスポックはジェーム・T・カーク船長の感情的で人間的な振る舞いとは対照的だった。ワシントン大学のスティーブン・べネディクト・ダイソンが2年前にモンキーケイジブログで説明したように、スタートレックでは性格の特長を組み合わせたのが成功のカギだった。ダイソンによると、「それぞれを分けて見れば、カークは熱情的でスポックは頑なな功利主義者」だが「彼らがそれぞれの分析を結びつけるとすぐれた決断が生まれる」。こうした感情と分野の結びつきは政治学者たちが着目し始めたものでもある、とダイソンは言う。
「スタートレック」が当初は1960年代とつながりがあったという外交政策を巡る論争には、クリンゴン人とロミュラン人の脅威に変化が起きた今日においても意味がある。理想主義(加えて関連する新自由主義)とその対極にある現実主義は、今なお外交政策を巡る議論において大きな部分を占める。オバマ大統領は冷静で物静かな態度によって繰り返してスポックになぞらえられてきた。(27日にオバマ大統領は『スポックを大好きだった』とコメントの中で語った)スポックとカークがオバマ大統領の立場だったらどうしたか想像してみると面白い。カークはISと戦うために地上軍を要請し、スポックは思いとどまるように求めるだろう。カークはウクライナに壊滅的な兵器を供給しようとするがスポックはこれに反対するだろう。イランの核兵器プログラムを巡るオバマとナタニエフの不一致において、誰がスポックで誰がカークかを巡っては間違いなく論争の的となるだろう。
もちろん、現実にはニモイがスポックでなかったことは、彼が1975年に出した自伝で「わたしはスポックではない」と明記している。だが、彼は役に深く影響を与えている(公平を期して言えば、1995年に出された自伝のタイトルは「わたしはスポック」だ)。本紙のアビー・オールハイザーが書いているように、スポックの有名な「長寿と繁栄を」という挨拶はニモイがユダヤ人として育った生い立ちに由来している。そして間違いなくニモイはオバマがスポックのような態度だと確信していたと思われる。「彼は落ち着いていてぶれない」とニモイは2008年にニューヨークオブザーバー紙に語っている。
<終了>

【ゴリ丸の感想】
正直に言いますと、「スタートレック」は折に触れて観たことが何度もあるのですが(作品も多いですから)、特にフリーク(世に言う「トレッキー」や「トレッカー」ほど)じゃありませんので固有名詞や諸々の事情についてはよくよく調べました。これこそ翻訳です。自分が書いたことでもなく、自分の興味と同じ分野でもないわけですから、訳すにあたっては上記のような事項をわかっていないと意味が通じない過ちを犯す恐れがあるわけです。訳す時間と調べる時間は、4対6か3対7くらいが普通です。
本記事については公式サイト含めて多くのホームページがあって、たぶん大丈夫かなと思います。

余談ですが、議会の仕組みや(あまり有名でない)政治家、学者やスポーツ選手の名前の読み方には苦労します。日本語の資料が極端に少なくなるからです。どうしてもわからないときは? 実は大使館や領事館に電話するんですよ。意外と気安く教えてくれます。人名だから仕方ないのですが、それでも違っていたことが一度だけありました。
~この稿おわり~

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