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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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ギリシャよりも日本が問題

ギリシャの財政危機問題がず~~~っと尾を引いています。ユーロ危機、欧州危機とも呼ばれるこの状況は2010年から始まったのですが、最初が粉飾決算の暴露ですからすごいですね。
いずれにしてもEU諸国による第2次金融支援策が条件付きで6月末まで4か月間延長されたことでとりあえずギリシャのデフォルトが回避されましたが根本的解決には至っていない状態です。ドイツを中心としたEU諸国はなんとしても緊縮財政によるギリシャの財政健全化を図り、それによってユーロ危機を回避したいという方針です。
この混沌とした状況に対しては、言うまでもなくヨーロッパのジャーナリズムが神経をとがらせていて、どのメディアもトップニュースはユーロ危機かISという状態がここ最近ずっと続いています。
と思っていたら『フォーチュン』電子版に、日本の公的債務の問題の方がアメリカにとっては深刻だという記事を見つけました。
"Forget Greece, Japan is the world's real economic time bomb" 「ギリシャのことは忘れよ。日本は世界経済の時限爆弾だ」
ちょっと穏やかじゃありませんねえ・・・

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
日本は公的債務残高がアメリカ経済に与えるインパクトをどうするつもりだろうか。
財界の目は現在ギリシャで何が起きているのかに釘づけであるし、それは無理もない。ギリシャがその債務について再交渉しようという意図を持っているため、世界最大の経済圏であるEUの加盟諸国が今後どう影響を受けるのかが再定義される。
だが結局のところギリシャがユーロから締め出されたとしても、より広範な影響には対処の仕方がありそうだ。もしギリシャが金融危機と厳しい不況に見舞われようとも、ギリシャの経済規模はそう大きくないし(だいたいルイジアナと同程度)、ヨーロッパの当局者たちはEUの金融システムを強化してしまったのでギリシャのユーロ圏離脱のショックにも耐えられるだろう。
しかし、地中海からほぼ1万キロ離れた地で引き続いて起こる次の経済ドラマははるかに決定的な影響を与えるだろう。日本で次に起きる金融危機はアテネで起きた事態ほどは見ていて楽しいものでない。結局、自称マルクス主義者のヤニス・バルファキス=ギリシャ財務相が世界最強の女性にして東ドイツ出身のアンゲラ・メルケルと雌雄を決するのを見るのよりも面白いことなどあるだろうか?
いずれにしても、世界経済第3位の日本の状況が今後数年のうちに世界経済に与える影響はギリシャよりも大きいだろう。また、米国同様に高齢化した欧米型民主主義国家日本の行く末を見ておくことは米国経済の将来を占うことにもなるだろう。
コロンビア大学国際公共政策大学院のエコノミスト伊藤隆敏は2月23日に行われたパネルディスカッションで、日本政府が消費税を現行の8%から15%以上に上げることができない限り、2021年から23年の間に日本経済は金融危機を迎えると主張した。その理由は、日本の人口が引き続き高齢化し、良く知られた高貯蓄率が下がらざるを得ず、日本国民は政府が負っている巨額の債務を負担しきれなくなるからだ。
ギリシャと違って、日本政府は債務を払うために円を好きなだけ発行できるが、この債務を負うのは政府、日銀、国民だ。したがって日本が債務によってデフォルトになることはない。しかし、伊藤の主張は、紙幣発行によってインフレ危機と日本の生活レベルに深刻な減退が起きるというのだ。
伊藤とともに参加したパネリストの日本研究者ジェラルド・カーティスは日本政府が消費税を近い将来に15%に増税するとは考えていない。安倍晋三首相が8%から10%への消費税増税を2017年まで延期したことは、政府が国民にこのような痛みを伴う政策を執れないことを示しているからだ。「どうなったらそうできるのか、私にはよくわかりません」とカーティスは語った。もし伊藤もカーティスも正しいのだとすれば、そう遠くない未来に日本に金融危機が起きるということになる。
彼ら以外の人たちにはあまり確信がない。ここ20年間を見ていると、日本は人口動態上の困難に直面している。出生率は低く、文化的に移民に反感を持っているため労働年令人口は驚くべき速さで下降し、一方労働しない退職者人口は(この人たちには高額の医療費がかかる)増加している。このダイナミズムによって、非常に多くの投機家が日本の債務が破たんする方に賭けるように行動してきた。悲惨な結果ではあるが、投機家たちをそのように動かした人口予測は現実のものとなっている。
では、なぜいままで日本に金融危機が起きなかったのか、そして伊藤のように事態が差し迫っていると言い続けている預言者を信じるべきなのだろうか?ポール・クルーグマンのような経済学者にとって、現在の成長の停滞とデフレの問題をまさに現実の問題として捉えていれば、日本には今から7年のうちにインフレ危機が起きると懸念することは正気の沙汰ではないのだ。
同時に、慢性的インフレや、ついでに言えばデフレも予測していない時に突発的に起き、いったん頭をもたげるとこれを阻止するのは至難の業だ。先進諸国にとって主要な問題がデフレであることは確かだが、伊藤の論点は、債務解消を中央銀行だけに頼るのが長期に過ぎると、国民は預金先を別に考えるだろうということだ。1960年代、70年代の米国経済を見さえすれば、持続的インフレがいかに急速に深刻な経済問題化するのかがわかる。エコノミストのクリスティーナ・ローマーが2007年の論文で指摘しているように、この時期のインフレの一因は、政策立案者が米国経済について楽観的に過ぎる予測をしたためであった。
先進諸国の生産性の伸びが鈍化し、日本の人口が減少することを前提とすれば、現在われわれが目にしている経済成長は将来も同程度だと考えても至極合理的だ。そうだとすると伊藤の論点とは、不可避なことを先延ばしするのには慎重になり、すぐに増税し、日本の成長は今後10年間にはそれほど大きくないことを認めるべきだということになる。
日本に何が起こるのか、欧米は注目すべきだ。欧米諸国の経済も、低成長と高齢化に取り組まねばならないからだ。財政支出と中央銀行の政策がこうした諸問題をどこまで解決できるのだろうか? 今後10年間に日本に起きることを見ていればわかる。
<終了>

【ゴリ丸の感想】
この記事はギリシャ危機、日本の公的債務問題に対する「向こう岸」のアメリカの立場をよく示しています。確かにギリシャの経済規模は「ルイジアナと同じ」くらいですから、万一破たんしても何とか対処できそうですし、日本が公的債務の問題で破たんするとすれば、西欧型民主主義国家としては初めてですから、アメリカとしては反面教師を良く見ておく必要があります。
日本が高齢社会を抱えつつどのような「成長」が可能なのか、欧米は注目しています。一方、安倍政権が消費税増税を先延ばしした事実を見て、ある意味では大きく失望しています。1000兆円といわれる公的債務解消のチャンスが先延ばしされたばかりでなく、それによって財政危機の恐れが大きくなったのではないかと警戒しているのです。
その意味で日本は「時限爆弾」なわけです。
~この稿おわり~

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