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鋭読 ~英独のニュースから世界を読む~

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沖縄問題を考える:ウェールズとうちなぁー

ウェールズと沖縄? なんのことでしょうか。

今日取り上げる媒体は、「ザ・ネイション」です。同紙は社会問題、政治問題を取り上げ、体制におもねることなく、様々な意見を投げかけているサイトです。
ジャーナリストのティム・ショロックが投稿した "How a Grassroots Movement Could Kick the US Marines Out of Okinawa"「どうすれば草の根運動で米海兵隊を沖縄から締め出すことができるのか?」
さて、答えはあるのでしょうか?

(注:リンク、トラックバック、引用は出典を明記した場合に限りフリーです。出典を明記せず、または管理人の承諾なく一部ないし全部を転載することは、これを禁じます。コメントから連絡ください)

<開始>
太平洋に浮かぶ沖縄で政治闘争が広がっているが、これはオバマ大統領の「アジア・ピボット戦略」のみならず、米軍の全アジア戦略にも異議を差し挟んでいる。残念ながら沖縄について主要メディアではあまり報道されない。ワシントンに新たに生まれた国家安全保障に関する元気いっぱいな新聞*1や、その軍事戦略を扱うシンクタンク*2でも、中国に焦点を当てたニュースの脚注の方が多いほどだ。若干の例外を除けば、左派や進歩的なメディアでさえ沖縄について報じていない。
それでも沖縄の紛争は日々激しさを増している。しかも、この紛争は米国外交を巡る基本政策の一つに真正面から向けられている。すなわち、ベトナムから東アジアに至るまでアメリカの影響力を及ぼすために朝鮮戦争以来使われてきた米国の環太平洋前進基地である沖縄に向けられているのだ。沖縄には19,000名の米海兵隊が駐留して、海兵隊唯一のジャングル訓練センター*3を含む米軍施設が多数ある。
沖縄での対立は、昨年11月と12月に行われた3つの選挙によって硬化した。日本の与党自由民主党および国防総省にはショックだったが、知事、主要な市長職、衆議院の沖縄地方区全議席で、基地反対派候補が新基地建設中止を求める選挙運動によって大勝した。これは沖縄から全米軍の完全撤退を意味しかねないものだった。
彼らの憤りは主に、宜野湾市中心部に位置する、セントラルパークよりも大きい巨大な海兵隊普天間飛行場に向けられている。1996年に日本人の少女が米兵に強姦されて沖縄に怒りが燃え上がると、日米両国は普天間飛行場の閉鎖に同意したが、後になって沖縄北部の名護市近くにあるキャンプシュワブに隣接した代替え基地に海兵隊の大部分を移動させる計画が付け加えられた。
しかし、最新の世論調査では80パーセントに上る大多数の沖縄県民が名護の新基地建設に反対している。その理由の中には、辺野古の漁村近くの、環境に左右されやすいサンゴ礁の破壊を引き起こすからだというものもある。「新基地建設を許さないことを私の目標と定めました」翁長雄志・新知事は雪崩式に当選を果たしたのちに言明した。

安倍政権は反対を抑え込む狙い
それ以降、米国政府に盲従する右派の安倍晋三*4は、辺野古湾に突き出るようになる2本の滑走路の建設を準備するために海底にボーリングを打ち込んで着々と新飛行場の基礎を築き始めた。昨年8月、3,600人がキャンプシュワブ前でデモ行進し、これが現在の抗議運動につながっている。2月、同基地で2千人以上がデモを予定した数時間前、米軍は日本人2人を拘束した。(ニューヨークタイムズに良くまとまった記事が載ったが、細かい点では一部誤りがある)最近では市民グループが、手づくりの旗を掲げたカヤックやボートを連ねて海底ボーリングに立ち向かっている。
こうした抵抗運動は昔から見られたものだ。沖縄は日本最南端の県で、1945年に第2次世界大戦史上最も悲惨な戦闘が繰り広げられて以来、実質的には米国が占領していた。ベトナム戦争中、沖縄は反米軍の大規模な抗議の場となった。米軍は「太平洋における米空軍のハブ」として知られていた米空軍嘉手納基地をベトナム爆撃のプラットフォームとして使用していたからだ。
ある時には、抗議が一瞬にして暴動と化したことがある。1970年12月30日、3千人を超える地元住民がコザ市の通りにあふれ、アメリカ人の車を引きずり回し、火をつけ、嘉手納基地のゲートに押し寄せ、基地内で大暴れした。その時の様子を伝える米憲兵の報告によると、「6時間後、暴動が下火になった時には60名以上のアメリカ人が入院し、80台を超える車両がコザの町並みでくすぶっていた」*5
米軍基地で働く沖縄県民の労働者たちも反戦運動に深く関与し、ベトナム攻撃のための基地使用に反対してストライキを起こしたこともある。2002年、ずる賢くて反動的なジョージ・ミーニーが率いていた米労働総同盟産業別組合会議がどのようにして駐沖縄米陸軍高等弁務官と協働して1969年のゼネストを阻止しようとしたのかを暴露する文書をわたしは発表した。わたしは「The nation」に「労働者の冷戦」と言われた同会議の外交政策について次のように書いた。

ミーニーと取り巻きがゼネストに激怒したのは、特に米労働総同盟産業別組合会議と連携していた保守的な日本の労働者連盟である同盟がゼネストを認めていたからだ。外交問題部長であるアーネスト・リーはミーニ―に宛てたメモで、ストライキが「もっぱら沖縄における米国政府の権威とその外交政策に対抗するもの」であり、「我が国の対ベトナム政策に影響を与え、ベトナムにおける共産主義勢力の攻勢に寄与するものだ」と警告した。

沖縄のウェールズ人記者
沖縄および沖縄と米国の対立についてもっと知りたいと思うならば、最も注目すべき記者はウェールズ人のジャーナリスト、ジョン・ミッチェルだ。ミッチェルは1998年に初来日し、東京に本社を持つ大手の英字新聞「ジャパンタイムス」および日本国内外のメディアに沖縄に関する記事を書いて6年以上になる。
その間、わたしはずっとミッチェルの記事を追いかけてきた。1960年代に日本に生まれ、東京で反戦デモに参加し、東アジアについてしばしば記事を書くものとして、わたしは彼の記事を大いに推奨する。(わたしは「コンソーシアムニュース」で行った最近のインタビューで、日本における米国の役割に関するわたしの見解について意見を交わした)
ミッチェルの最も重要な記事には、米軍がベトナムと沖縄で使用した枯葉剤エージェントオレンジの保管、使用、廃棄に関する記事がある。(米軍が隠匿したドラム缶何本もの毒薬が後に発見され、彼の記事は証明された)沖縄とエージェントオレンジをテーマとした彼のドキュメンタリー映画は、外国人ジャーナリストとしては初めて日本の民放連の優秀賞を受賞した。国防総省はミッチェルの作品に対して、彼の言う「反証調査」に乗りだしさえした。
ミッチェルは別の大スクープで、キューバミサイル危機の際に沖縄を利用して核兵器で中国を攻撃しようという国防総省の企みを暴露する文書を入手した。彼は沖縄の不服従の歴史についても幅広く書いている。
先月、ミッチェルは沖縄駐留米軍士官が日本の極右勢力と関係を構築し、彼らが辺野古基地反対運動を抑えるのに手を貸そうとしていることを暴露した。2月16日、彼はジャパンタイムスで、ロバート・エルドリッジ在沖縄米軍海兵隊政務外交部次長が日本で最も右寄りのテレビネットワークに出演し、基地反対デモを「ヘイトスピーチ」と決めつけた、と報じた。

今週末、ミッチェルが別の要件での沖縄訪問から帰ってきてすぐに、わたしは彼にメールでインタビューした。まずウェールズと沖縄の関係についての質問から始めた。

ジョン・ミッチェルへのインタビュー
(以下、筆者シャロックの質問は「S」、ミッチェルの回答は「M」)

S: ウェールズには外国(イギリス)支配に対する長い抵抗の歴史があり、母国語と統一を自らの力で勝ち取りました。ウェールズ人の血をひくあなたはどのようにして沖縄に興味を持つようになったのでしょうか?

M: ウェールズと沖縄はとても多くの点で似ています。いずれも権力(イギリスと日本)による抑圧に苦しみました。昔、イギリスはウェールズ語を話した生徒に罰としてバッジをつけさせてウェールズ語を撲滅しようとしました。日本は沖縄に全く同じシステムを持ち込みました。現在、ウェールズと沖縄はそれぞれイギリス、日本の諸地域と比べて最貧地域です。ですが、われわれは美しい風景と歴史、それに歌を愛する心に誇りを持っています。

S: 沖縄で抗議運動を率いているのはどういう人たちなのでしょうか? 米軍の対応はどうなっていますか? 昨年11月の選挙以降の沖縄全体の雰囲気はどのようなものでしょうか?

M: 現在、沖縄中が新基地反対で一致しています。知事、市長、また、昨年12月の選挙では安倍自民党の沖縄の現職議員が全員基地反対派に敗れました。こうした事象は新基地反対が浸透していることを反映しています。これは市民による不服従の運動なのです。ガンジーやマーチン・ルーサー牧師の不服従と同じものです。非暴力の、平和裏に行われている抗議なのです。
抗議は、様々な参加者がいて、形態も多様です。学生たちは高齢のデモ参加者のために毎週末に鍋パーティーを開いています。沖縄北部では寒くなっていますからね。仏教僧とキリスト教司祭が祈りの集いを開催しています。ゴスペルのグループは「We Shall Overcome」を歌っています。大学生、教師、家族、元基地労働者、外国人、サラリーマンなど様々な人たちが参加しています。

S: 米海兵隊がデモ隊のことを「ヘイト犯罪」において有罪だと決めつけたというあなたの記事には驚きました。反基地運動に対する米国の反応について何がわかってきていますか?

M: こうしたコメントから、通常はわかりにくい米軍高官の考え方が見えてきました。彼らは口をつぐみがちですが、「ヘイトスピーチ」、「共産党からおカネが出ている」、「うそのケガ」といった非難は、彼らがデモ隊と沖縄県民を軽蔑している表れです。

S: 沖縄での紛争に対して米国メディアも国家安全保障担当の記者団もほとんど注目していません。何かしら「われわれ」米国が沖縄に前線基地を持っているのが当たり前で、われわれを暗黒の世界から守っている善意の力を巡って沖縄県民が子供じみた文句をつけているといった前提があるように思われます。米メディアが沖縄について見落としているのは何なのでしょうか?米国人が沖縄で起きていることについて知るべき最も重要なことは何なのでしょうか?

M: 1969年、(元駐日米国大使)エドウィン・ライシャワーは沖縄のことを「日本人100万人が住む植民地」と呼び、米国は今でも沖縄に対してこうした植民地意識を持っています。第2次世界大戦があったがゆえに、米国民は沖縄が戦争の勲章だと思っています。沖縄戦を生き延びた人たちに何人もインタビューしましたが、彼らは戦闘後にGIたちが示した優しさに大いに感謝しています。ですが、今日ではそうした感謝がだんだん消えてしまっています。60年間にわたって郷土を奪われ、犯罪と事故が度重なったため、こうした好感は消えうせたのです。
沖縄県民の中には、ベトナム戦争で自分たちの島が使われて東南アジアの住民たちが殺されたことに対して大きな罪悪感を感じている人がたくさんいます。沖縄戦でほぼ住民の3分の1が命を失った経験から、彼らは「命どぅ宝」(「ぬちどぅたから」:命はかけがいのないもの)と強く感じています。しかし国防総省は彼らの島を使ってベトナム、イラク、アフガニスタンと、戦争と侵略に次々に失敗しています。これが新基地建設反対があのように強い理由なのです。
現在米軍は、第2次世界大戦における日本の果たした役割を賛美し、日本兵たちが犯した残虐行為を否定する人たちのためにプラットフォームを提供している日本のテレビネットワーク「チャンネルさくら」と連携しています。ある米海兵隊高官はチャンネルさくらに2回出演しています。国防総省のラジオ放送であるAFN沖縄は米兵向けのある番組にチャンネルさくらの司会者を出演させました。米軍はチャンネルさくらのクルーの米軍基地立ち入りを許可しています。
この局は常軌を逸していますね。第2次世界大戦では5万人の米国人が沖縄戦で死亡ないし負傷しています。彼らは自由のために、そしてファシズムに対抗して戦いましたが、駐沖縄米軍はそうした集団と連携することによって死傷者たちの記憶をないがしろにしています。もし米軍高官がヨーロッパでネオナチの放送に出演したら大騒ぎになります。しかし国防総省は、本来は逃げ切れないようなことでも沖縄ではできると常に感じてきたのです。

S: 日本の他のところではどうでしょうか?安倍首相が憲法第9条を改定して日本兵を海外に配備できるようにすることによって押し付けようと画策している変革に対して反対が起きていますか?特に、わたしもその一人であるベビーブーム世代では何百万もの人たちが1960年代の反戦運動に参加したに違いないのですが。

M: わたしたちは沖縄を歴史的視点から見なければなりません。日本本土は何百年もの間、沖縄を差別してきました。明治時代、日本政府は沖縄の文化と言語を一掃しました。この試みは、日本軍が本土防衛のための時間稼ぎに沖縄を犠牲にした時にはっきりと表面化しました。今日、日本政府は沖縄県民の意思を無視しています。これは紛れもなく差別です。しかも米国はこれに加担しています。さらに悪いことには、沖縄に行使されているひどいやり方は、福島の悲劇があったにもかかわらず原発を再稼働する動きを止めようしている本土の人たちへのメッセージだと考える人が多いことです。
現在の日本には極右の声が大きく、わたしには自身の記者活動がゆえに数多くのヘイトメールが送られてきます。極右派は報道の自由と平和的抵抗権を弾圧しようとしています。とはいえ彼らは少数派です。わたしが会った学生、ビジネスマン、退職者といった本土の日本人の大多数は平和憲法を維持したいと思っていますし、どこであれ自衛隊が戦闘に加わるのを見たくないと思っています。日本には今でも平和を愛する素晴らしい心があります。安倍首相の支持率は高いように見えますが、これには2つの要因があります。一致した勢力としての野党がいないこと、右派メディアによる攻撃が増えていることです。

S: 今年の沖縄はどうなると思われますか?その他の地域ではどうでしょうか?中国、北朝鮮の脅威は、アジアにおける米軍増強に対する懸念を上回るのでしょうか?

M: 70年前、沖縄で初めて行われた戦闘のことは誰でも覚えています。しかし沖縄以外のほとんどの人たちは、1955年に米軍が銃剣とブルドーザーで沖縄の農民たちを強制退去させて基地を建造した2度目の戦闘を知りません。この両方の戦闘の記憶は沖縄に今でも強く残っています。人々に軍国主義とは何かを教えたからです。今年、沖縄県民はこれら2つの戦闘を思い出すでしょう。ですから、新基地に対する抵抗は今後も弱まることがないでしょう。日本政府はデモ隊を逮捕し始めるかも知れませんが、反対は強いままでしょうから留置場は溢れかえるでしょう。また、基地反対運動に対する支援は、本土や海外の日系アメリカ人コミュニティにもたくさん見られます。
2015年、日米両国は中国に対する恐怖を煽り立て続け、現在沖縄で行われている人権抑圧を正当化しようとするでしょう。しかし同時に、日米両国は中国と大量の貿易を継続するでしょう。これは偽善です。
<終了>

訳注
1. アメリカの国家安全保障政策に関する情報紙Defense oneのこと。
2. シンクタンクCenter for New American Securityのこと
3. 正式には「ジャングル戦闘訓練センター」。沖縄本島北部の国頭郡の国頭村および東村にまたがる広大な軍事演習場
4. この記事は左翼によるものではない。憲法解釈変更以来、安倍首相が平和憲法を放棄し、完全に軍国主義に舵を切ったというのが欧米のジャーナリズムにおいてごく普通の見解となった。それまでは中国、韓国以外には安倍首相を指して「右翼」と呼ぶケースは稀だった。
5. コザ暴動のこと

【ゴリ丸の感想】
沖縄問題を論じた記事と、沖縄問題に取り組むウェールズ人記者ミッチェルのインタビューで構成されています。
現在沖縄で起きていることをある視点に基づいて的確に報道していると思います。(個々の問題に対する理解について、ゴリ丸は必ずしも全面的に賛同するものではありませんが)
いずれにしても、後半のミッチェル記者へのインタビューにも貫かれている視点は、大国や中央政権による市民活動に対する抑圧は、これを微塵も許さずに糾弾するという、至極妥当なジャーナリズムの精神だと思います。
それにしても、電子版で検索した範囲では、エルドリッジ次官の「ヘイトスピーチ」発言について日本の全国大手紙で報じているのは朝日、毎日、共同。産経グループは「ZAKZAK」で、エルドリッジ次官の「ヘイトスピーチ」発言を妥当なものとして紹介しています。(「ZAKZAK」はサイトですが、「日刊ゲンダイ」や「夕刊フジ」と同等の位置づけですと言っていいでしょうかね? ところで、同次官は活動家更迭事件に際して、報道機関に基地側が撮影した動画を提供したため、先日更迭されました)
立場によって報道姿勢が違うこと自体はある意味で自由(であるべき)だと考えます。
ですが、その他のメディアが、自らの立場を明らかにすること自体、または報道することを体制側からにらまれることを恐れるあまり報道を回避したのだとすれば看過できないたいへんな問題です。自ら報道の自由に死罪を宣告して「自粛」したわけですから。
それこそ、自称ジャーナリストたちによる、たいへんな偽善だとゴリ丸は思うのです。
~この稿おわり~

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